「於」の正しい使い方と例文解説|案内状マナーや「於いて」の違いまで
ビジネスの案内状や式典の招待状、あるいは歴史ある企業の社内報などで、場所を示す際に「於 帝国ホテル」のように記された漢字「於」を目にする機会は少なくありません。しかし、いざ自分が案内状やビジネスメールを作成する立場になると、「そもそもどう読むのか」「単体で使って失礼にあたらないか」「『於いて』とどう書き分けるべきか」と迷う方が後を絶ちません。
文字ひとつで文書の品格が大きく左右される日本語において、「於」は独特の格式と古典的な響きを持つ文字です。本稿では、ビジネス文書や式典案内で失敗しないための「於」の正しい読み方・意味から、具体的な場面別例文、公用文ルールに基づく平仮名表記との使い分けまで、実務に直結する知見を余すところなく解説します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:「於」は主に「おいて」「おける」と読み、場所・時間・状況を指定する際に格調高いニュアンスを添える前置詞的役割を果たす。
- 要点2:式典の案内状や結婚式の招待状では「於 〇〇の間」のように場所指定として定着しているが、現代の公用文や一般ビジネスメールでは平仮名の「において」が標準である。
- 要点3:「於」自体に敬語の力はないため、過剰な多用は読み手に「読みにくい」「堅苦しすぎる」という心理的負荷を与えるリスクがあり、TPOに応じた戦略的な使い分けが求められる。
【基本構造】「於」の読み方・意味と漢文由来のルーツを解き明かす
「於」という漢字は、表外音訓(常用漢字表に掲載されていない読み)を含めると複数の読み方を持っています。一般的にビジネス文書や日常で見られる於の読み方は「おいて」「おける」ですが、音読みでは「オ」「ウ」、漢文訓読では「ああ(感嘆詞)」とも読まれます。
この文字の成り立ちを理解する鍵は、漢文於の用法にあります。漢文において「於」は、英語の前置詞(in, at, on, by, to)に酷似した働きを持つ「介詞(前置詞)」です。後ろに場所、時間、対象、比較の基準、受動の動作主を置き、「〜において」「〜にて」「〜より」「〜に」という意味を表す構造を持っています。
日本語の文脈に持ち込まれた際、漢文の訓読法(「於」を「おいて」と読む規則)がそのまま公的な記録文書や候文(そうろうぶん)の伝統へと継承されました。そのため、現代日本語でも「於」という単一の文字が「場所」や「舞台」を宣言する強力なシグナルとして機能し続けています。

ビジネス文書・案内状での「於」実践例文と開催場所の表記ルール
実務で最も頻繁に「於」が使われるのは、イベントや式典の案内状における「記書き(中央に『記』と書き、日時や場所を箇条書きにする形式)」です。ここでは、案内状於書き方および開催場所於表記の定石パターンを例文とともに提示します。
1. 式典・祝賀会の案内状における場所指定例文
創立記念パーティー、新社屋落成披露宴、就任祝賀会などの格式高い状書きでは、場所の項目に「於」を添えることで厳かな雰囲気を演出できます。
【於場所指定例文(案内状の記書き)】
日時:2026年5月20日(水)18時00分開宴(受付開始 17時30分)
場所:於 ホテルニューオータニ 鳳凰の間
(※「場所:於 〇〇」とする表記のほか、「場所」という文字を省略して単に「於 〇〇ホテル」と1行設ける形式も広く採用されています)
2. 結婚式招待状での「於」の伝統的マナー
結婚式招待状於使い方としても、古くから格式を重んじる婚礼印刷物で重宝されてきました。挙式会場や披露宴会場の案内に「於 パレスホテル東京」と配することで、フォーマルな格調を醸成できます。ただし、近年のカジュアルなウェディングやWeb招待状では、若いゲストへの配慮から「場所:」「会場:」とストレートに表記するケースが主流になりつつあります。
【徹底比較】「於」「於いて」「於ける」の違いと公用文表記の最新基準
文章を作成する際、多くの人が直面するのが「於」「於いて」「於ける」「において」「における」の使い分けです。これらは文法的な接続や公的な用字用語ルールによって明確に区分されています。
| 表記・語形 | 文法機能・使われ方 | 一般的な基準・公用文ルール | 編集部の見解・評価 |
|---|---|---|---|
| 於(単体) | 名詞の直前に置き、場所・会場を指定する(記書き専用) | 公用文の本文では不使用。案内状・賞状・式次第で許容 | 極めて形式的な紙媒体向き。メールでは避けるのが無難 |
| 於いて / 於ける | 連用修飾(〜において)/ 連体修飾(〜における+名詞) | 公用文では原則「ひらがな」(常用漢字表外の訓読のため) | 漢字表記は時代遅れ・難読と見なされる傾向が強い |
| において / における | 場所、時間、分野、条件などを幅広く接続する複合辞 | 現代の標準表記(官公庁文書、新聞、ビジネス文書共通) | 認知負荷が最も低く、誤解を生まないスマートな正解 |
於とにおける違いの実例として、於いて使い方例文と於ける例文を確認してみましょう。
【於いて(において)の例文】
・「本シンポジウムは、学術交流会館において開催されます。」(場所)
・「2026年度の事業計画策定において、最も重視されたのは業務効率化です。」(状況・プロセス)
【於ける(における)の例文】
・「アジア市場における当社製品のシェア拡大を目指します。」(連体修飾:市場でのシェア)
・「法曹界におけるDXの推進は急務となっています。」(分野・領域)
文化庁が提示する『公用文作成の考え方』においても、常用漢字表にない訓読みである公用文於いて表記はひらがな書き(「において」「における」)が徹底されています。公的な報告書やプレスリリースを作成する際は、漢字ではなくひらがなを選択するのが鉄則です。

【実態検証】ビジネスメールでの「於」使用はマナー違反?現場のリアルな受け止め方
日常的なビジネスメール於使い方を巡っては、世代間や業界間での感覚ギャップが存在します。編集部がビジネスパーソンのメール文面やコミュニケーション実態を検証したところ、テキスト主体のデジタルツールにおいて「於」を不用意に使うことへのネガティブな反応が浮き彫りになりました。
「チャットツールやメールの本文で『於 本社5階会議室』と書かれていて、一瞬何かの誤植かと思った」「『於ける』と漢字で書かれたメールを見ると、形式にこだわりすぎていて内容が頭に入ってこない」といった、視認性や可読性(リーダビリティ)の低下を指摘する声が多数を占めています。
案内状の印刷物とは異なり、スマートフォンやPCの画面で素早く情報を処理するビジネスメールでは、漢字の密度が高すぎると読み手の「認知負荷(情報を処理する際の脳の負担)」を無駄に跳ね上げてしまいます。要件を端的に伝える場面では、「場所:本社5階会議室」「東京オフィスにて開催いたします」といった平易な表現が圧倒的に歓迎されます。
一般に知られていない盲点とネットの誤解|「於」を使うべきでないNG場面
インターネット上のマナー解説などでは「『於』を使うと敬意が高まる」と誤解されているケースが散見されます。しかし、於意味とマナーの本質を紐解くと、この文字自体には敬語の要素(尊敬・謙譲・丁寧)は一切含まれていません。
したがって、「於」を使ったからといって相手への敬意が増すわけではなく、単に「漢文調の厳格さ」が付与されるに過ぎません。以下のような場面での使用は、マナー違反や不自然な悪文と受け取られるため注意が必要です。
【「於」を避けるべきNG場面】
- 日常的な社内チャット・Slack連絡:「於 応接室にて打ち合わせを行います」は過剰に仰々しく、コミュニケーションのテンポを阻害します。
- 敬語連結の誤用:「〇〇様におかれましては」とすべき文脈で「〇〇様に於かれましては」と漢字表記すると、文字の威圧感が強くなりすぎます。
- 履歴書・職務経歴書:「前職に於いて新規事業を担当」と書く応募者がいますが、採用実務の現場では「常用漢字の使い分けができていない」と判断されるリスクがあります。平仮名で「前職において」と書くのが標準的です。

【プロの結論】「於」を使って格調を高めるべき相手・ひらがなを選ぶべき判断基準
言語社会学およびビジネスマナーの観点から導き出される結論は極めて明快です。「於」という表記は、「儀礼的・格式的な紙の印刷物」に限定して使用し、それ以外のすべてのデジタル文書・公用文では「において(ひらがな)」を選択するのが最も洗練された振る舞いです。
「於」を使うことがふさわしい場面(向いている用途)
- 紙の封書で送る格式高い式典案内状:周年記念事業、叙勲・受賞記念祝賀会、神社仏閣の行事案内、伝統芸能の公演パンフレット。
- 賞状・表彰状・感謝状:「令和八年五月一日 於 本社講堂」のように、末尾の日付と場所を格調高く残す場合。
- 伝統的な婚礼印刷物:格式を最優先とする家柄や格式ある式場での結婚式招待状。
「於」を避け、ひらがな(において/における)にすべき場面(おすすめできない用途)
- 日常のビジネスメール、商談連絡、Webサイト上のイベント告知。
- 官公庁・自治体向けの公用文、稟議書、社内規定、学術論文。
- 履歴書、エントリーシート、職務経歴書などの採用関連書類。
表記の格調高さは、相手への配慮(読みやすさ)と表裏一体です。形式美を重視すべき儀礼の場では「於」を用い、迅速・明瞭な伝達が求められる現代のビジネス現場では「において」を選ぶという、明確な境界線(バウンダリー)を持った使い分けがプロフェッショナルとしての信頼を生み出します。
【於 使い方 例文】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:「於」を場所の前に書く場合、後ろにコロン(:)やスペースは必要ですか?
A1:案内状の記書きで単体で使う場合、「於 帝国ホテル」のように漢字の後に全角スペースを1つ空ける表記が一般的です。「於:〇〇」とコロンを付ける書き方も見られますが、コロンは「項目名」を表す記号であるため、「場所:於 帝国ホテル」とするか、あるいは「於 帝国ホテル」とシンプルにスペースを空けて配置するのが最も美しく整います。
Q2:招待状で「於いて」と送り仮名を振るのは間違いですか?
A2:間違いではありませんが、案内状の記書き(箇条書き)で会場を提示する際は、送り仮名を省いて単に「於 〇〇の間」とするのが伝統的な表記慣習です。文章として「〇〇ホテルにおいて執り行います」と繋げる場合は、漢字を用いず平仮名で「において」と表記するのが現代の標準です。
Q3:社内ポスターや回覧板で「於 〇〇会議室」と書くのはマナーとしてどうですか?
A3:社内告知であれば意味は通じますが、やや堅苦しく古風な印象を与えます。社内文書であればシンプルに「場所:〇〇会議室」とする方が視認性に優れ、読み手全員に対して親切な伝達方法となります。
まとめ:格式と読みやすさを見極めたスマートな文書作成を
漢文の時代から続く「於」という文字は、今なお日本の儀礼文書において特有の重みと品格を保ち続けています。しかし、その格式ゆえに、現代のデジタルコミュニケーションや公用文においては「平仮名で表記する」という明確なルールが定着しています。
重要なのは、「於」という表記そのものの優劣ではなく、文書の目的と受け取る相手に合わせた最適なトーン&マナーの選択です。格式ある式典の案内状では「於」の持つ厳かさを活かし、日常のビジネスメールや報告書では「において」の平明さを選ぶ――この柔軟な使い分けこそが、相手への敬意と洗練されたビジネススキルを伝える最良の手段となります。 (出典: 於 使い方 例文(Yahoo!ニュース))