自転車のチェーンを切らずに外す方法|専用工具なしの裏ワザと脱着手順
自転車の駆動系メンテナンスや徹底洗浄、パーツ交換を行う際、多くの人が直面するのが「チェーンを外したいが、専用のチェーンカッターでピンを切断したくない」という壁です。一度ピンを抜いてしまうと再利用時に強度が落ちるリスクや、専用の接続ピンを用意する手間が生じるため、できれば既存のリンクを活かしたまま脱着したいと考えるのは自然な判断といえます。
結論から言えば、チェーンに「ミッシングリンク(クイックリンク)」や「クリップ式ジョイント」が備わっていれば、チェーンカッターを使わずに身近な道具だけで取り外すことが可能です。一方で、一般的なコネクトピンで全周が一体化されているタイプでは、物理的に後輪側を緩めてフレームから逃がすか、初回のみ適切なリンクを導入する処置が必要になります。本稿では、自転車整備の現場で使われる裏ワザやラジオペンチ・結束バンドを用いた代用テクニック、再装着時の注意点までを体系的に検証・解説します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:ミッシングリンク装着車なら、専用プライヤーがなくても「ラジオペンチのクロス掛け」や「結束バンドの引き絞り」で切らずに外せる。
- 要点2:ママチャリに多いクリップジョイント式はマイナスドライバーで外せるが、全周ピン留めチェーンは後輪を前にスライドさせてチェーンを外すアプローチを取る。
- 要点3:一度押し出したチェーンピンの再利用は破断事故の元になるため厳禁。安全な脱着にはミッシングリンクの導入が最も合理的。
【構造別の判断】自転車チェーンは切らずに外せる?仕組みを徹底解剖
自転車のチェーンを取り外す際、まず確認すべきは「自分の自転車にどの接続方式が採用されているか」という点です。構造の違いによって、工具なしや身近な道具で外せるかどうかが完全に分かれます。
チェーンの接続方式は、主に以下の3パターンに分類されます。
- ミッシングリンク(クイックリンク)式:ロードバイクやクロスバイク、近年の変速付きスポーツ車に多い方式。左右からプレートを噛み合わせてスライドロックする構造で、ピンを切らずに脱着することを前提に設計されています。
- クリップジョイント式:変速機のないシングルスピード車、ピストバイク、一部の実用車・ママチャリに採用。片側のプレートを金属クリップで固定しており、クリップをスライドさせれば簡単に分離できます。
- エンドレス(コネクトピン圧入)式:完成車に多く見られる、すべてのコマが均一なピンでカシメられているタイプ。この構造を切らずに外すには、リンクを分離するのではなく「後輪を外してフレームからチェーンを抜き取る」作業が必要になります。
変速機付きスポーツバイクでミッシングリンクが見当たらない場合、外見上は1本の輪に見えます。このタイプを「リンク部で分離」させたい場合は、最初の1回だけチェーンカッターでピンを押し抜き、後述するミッシングリンクへ換装するのが業界の標準的なアップグレード手順です。

【専用工具なし】ミッシングリンクをラジオペンチや結束バンドで外す裏ワザ
ミッシングリンクは本来、専用の「マスターリンクプライヤー(リンクオープナー)」で外すのが推奨されますが、手元に工具がない緊急時やDIY作業では身近な道具で代用できます。
裏ワザ1:ラジオペンチを対角に噛ませる「クロスピン法」
最も確実性が高いのが、先細のラジオペンチを使用する方法です。
- チェーンのテンションを緩めるため、フロントとリアのギアをインナートップ(最もチェーンが弛む位置)に入れる。
- ミッシングリンクの両側にあるピンに対し、ラジオペンチの先端を斜め(対角線上)に引っ掛ける。
- ペンチの先端が滑らないよう指先で軽く押さえながら、グリップをゆっくり握り込む。
- テコの原理で2本のピンが互いに内側へ引き寄せられ、「カチッ」とロックが解除される。
裏ワザ2:結束バンド(インシュロック)で絞り込む方法
ペンチが入らない、またはチェーンを傷つけたくない場合に有効なのが結束バンドの活用です。
- 幅2.5mm〜3.5mm程度の結束バンドをミッシングリンクの2本のピンの内側に通し、ループ状に一周させる。
- 結束バンドの端を引っ張り、ピン同士を中央に引き寄せるように強く締め上げる。
- ある程度締まった段階で、別のペンチで結束バンドの結び目を引っ張るか、手でチェーン両端を外側から内側へ押し込むとロックが外れる。
裏ワザ3:丈夫なタコ糸・針金・靴紐を使うレスキュー技
出先でのチェーントラブル時、結束バンドがない場合は丈夫なタコ糸やシフトワイヤーの切れ端、靴紐でも代用可能です。ピンの間に紐をクロスさせて通し(8の字を描くように掛ける)、両端をプライヤーや手袋をした手で強く引くことで、ピン同士を中央に寄せて解除できます。
【ママチャリ・一般車】チェーンを切らずに車体から外す&クリップ式の脱着手順
ママチャリ(シティサイクル)のチェーンメンテナンスでは、スポーツ車とは異なるアプローチが求められます。ママチャリには「クリップ式ジョイント」が使われているケースと、「チェーンケース内に収まった一体型」の2通りがあります。
クリップ式ジョイントが装着されている場合は、小型のマイナスドライバーまたはラジオペンチを用意します。クリップの開いている側と反対側のピンに工具の先端を当て、進行方向と逆向きに押し出すことでクリップがスライドして外れます。その後、外側プレートと本体を引き抜けばチェーンの切り離しは完了です。
一方、クリップが見当たらない圧入式ママチャリチェーンの場合、リンクを切らずに車体から外すには以下の手順を踏みます。
- チェーンカバーを取り外し、後輪のハブナットおよびブレーキ固定ボルト、チェーン引き(アジャスター)を緩める。
- 後輪ホイールを前(クランク側)へグッと押し込み、チェーンの張りを完全に無くす。
- 緩んだチェーンをフロントスプロケット(前ギア)から手で脱落させ、続いて後輪の小ギアからも外す。
- フレームのチェーンステーが「後方開放型エンド」であれば、そのままチェーンを後方へ引き抜く。
ただし、一般的なダイヤモンド型やスタッガード型フレームの多くは、チェーンがリア三角(チェーンステー)の内側を通っているため、リンクを一切切断しない状態ではフレームの輪から完全にチェーンを独立させて車体外へ取り出すことは物理的に不可能です。車体から完全に分離して丸洗いしたい場合は、やはりチェーンカッターで一度切断してミッシングリンク化するか、車体にぶら下げた状態で洗浄トレーに浸す工夫が必要になります。

【徹底比較】チェーン脱着手法ごとの難易度・コスト・リスク一覧
チェーンを切らずに脱着する各種手法について、必要なコストや作業リスクをまとめました。
| 手法・アプローチ | 所要時間・工具コスト | 作業難易度・傷リスク | 編集部の見解・評価 |
|---|---|---|---|
| 専用プライヤー使用(ミッシングリンク) | 約1分 費用:1,000〜1,800円前後 | ★☆☆☆☆(極めて容易) パーツ損傷リスク:ほぼゼロ | 最も安全かつ確実。頻繁にチェーン清掃を行うなら必携の工具。 |
| ラジオペンチ代用(クロス掛け) | 約3〜5分 費用:0円(家庭用工具) | ★★☆☆☆(普通) 滑るとプレートに小傷が付く恐れ | 手元に道具がない場合の最適解。ペンチ先端にウエスを噛ませると安全。 |
| 結束バンド(インシュロック)裏ワザ | 約5分 費用:数十円(1本使い捨て) | ★★☆☆☆(コツが必要) パーツへの攻撃性は極めて低い | 出先トラブルや傷を絶対につけたくない場合の現場対応として極めて優秀。 |
| 後輪スライド外し(ママチャリ・一体型) | 約15〜30分 費用:スパナ類(1,000円程度) | ★★★★☆(工程が多い) 組み立て時のセンター出しが必要 | フレーム内を通る車体では完全分離不可。ギア周辺の清掃目的であれば有効。 |
チェーンピン再利用は重大事故のもと?知っておくべきメンテナンスの落とし穴
ネット上の古い情報や一部の動画では「チェーンカッターでピンを途中まで押し出し、完全に抜かずに残しておけば、再度押し込んで再利用できる」という裏ワザが紹介されていることがあります。しかし、現代のスポーツバイク用チェーンにおいて、一度抜いたコネクトピンの再利用は極めて危険であり絶対に避けるべき行為です。
シマノ(SHIMANO)をはじめとする主要コンポーネントメーカーの公式マニュアルでも明記されている通り、現代の多段変速用チェーン(8速〜12速)は、薄いプレートを高強度なピンで外側から精密にカシメることで破断強度を保っています。ピンを一度でも押し抜くと、プレート側のピン穴が押し広げられて金属組織が破壊されます。そこに同じピンを無理やり圧入しても、初期規定の結合力は戻りません。
再利用したチェーンで強いトルクをかけてペダリング(特に登り坂や発進時の立ち漕ぎ)を行うと、接続コマが突然破断し、バランスを崩して激しく落車する重大事故に直結します。チェーンを切断して再度繋ぐ場合は、必ず新品の指定コネクトピン(アンプルピン)を使用するか、規格に適合したミッシングリンクを使用するのが整備上の鉄則です。
また、ミッシングリンク自体にも「単一使用限定(Non-reusable)」と「複数回脱着可能(Reusable)」の2種類が存在します。単一使用タイプは一度外すとロック強度が落ちるため、メーカー指定に従い定期的な新品交換を心がけてください。

外した後のチェーン丸洗い洗浄方法と確実なはめ方のコツ
チェーンを切らずに外した後は、車体につけたままではできない徹底的な丸洗い洗浄を行う絶好の機会です。
ペットボトルや密閉容器を使った「シェイク洗浄」
- 外したチェーンを空のペットボトルや広口のガラス瓶、専用の密閉シェイカーに入れる。
- チェーン全体が浸る程度のディグリーザー(油溶解剤)またはパーツクリーナー液を注ぐ。
- 蓋をしっかり閉め、1〜2分間激しくシェイクする。内部の細かい砂利や劣化したオイルが黒く溶け出してくる。
- 汚れた液を排出し、パーツクリーナーで内部をすすいだ後、ウエスの上に取り出して完全に乾燥させる。
ミッシングリンクの確実なはめ方と「テンションロック技」
洗浄・乾燥を終えたチェーンを自転車に戻す際、ミッシングリンクのロックが手力だけでは固くて入らない場合があります。その際は以下の手順で確実にロックさせます。
- チェーンの進行方向(表裏)を確認する。シマノ製チェーンなどの場合、外側プレートにロゴ刻印がある面を表(外側)に向けて通す。
- ミッシングリンクの両側パーツをチェーン端に差し込み、ピンとスロットを仮噛み合わせする。
- ミッシングリンクが「上側のチェーンライン(クランクとスプロケットの間)」に来るようクランクを回す。
- 後輪が地面に着いた状態で、左手でリアブレーキをしっかり握り、車輪を固定する。
- 右ペダルを前方へ強く踏み込む。ペダリングの張力によってミッシングリンクが一瞬で引っ張られ、「パチン」と小気味よい音を立てて完全にロックされる。
装着が完了したら、チェーンルブ(潤滑油)を各コマのローラー部分に一滴ずつ注油し、5分ほど馴染ませたあとに表面の余分な油をウエスで拭き取ります。表面に油が残っていると走行中に砂埃を吸着し、早期摩耗の原因になるため拭き取り工程は必須です。
【プロの結論】自分で裏ワザ脱着を試すべき人・専用工具を買うべき人の判断基準
チェーンのメンテナンスを自分で行うにあたり、どこまで身近な代用工具で済ませ、どこから専用工具やプロショップに頼るべきか。その境界線を明確に提示します。
身近な道具(ラジオペンチ・結束バンド)で済ませて良い人
- すでに車体にミッシングリンクが装着されていることを確認できている。
- 数ヶ月に1回程度の頻度でしかチェーンを外さない。
- 工具の扱いに慣れており、プレートやピンに無理な横方向の力をかけずに作業できる。
- 出先でのチェーン噛み込みトラブルなど、緊急避難的な対応が必要になった。
専用工具(リンクプライヤー・チェーンカッター)を購入すべき人
- これから初めてチェーンをミッシングリンク化するために既存チェーンを切断したい。
- 月に1回以上、チェーンを外して灯油漬けや超音波洗浄を行うヘビーユーザー。
- 11速・12速などの高密度コンポーネントを使用しており、チェーンの歪みによる変速狂いを極限まで防ぎたい。
- ラジオペンチ作業で滑ってしまい、フレームや手元を傷つける不安がある。
現代のマスターリンクプライヤーは1,500円前後で入手でき、「外す」と「はめる」の双方向に対応した高機能なモデルが主流です。安全確実な整備性を考慮すれば、DIY派であっても工具箱に1本揃えておく価値は十分にあります。
【自転車 チェーン 外し 方 切ら ない】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:ミッシングリンクが付いていないチェーンを、チェーンカッターなしで外す方法はありますか?
A1:変速機付きスポーツ車のコネクトピン留めチェーンの場合、チェーンカッターを使わずにリンクを分解することはできません。無理にドライバーや釘でピンを叩き出すとプレートが歪み、チェーン全体が使用不能になります。ただし、ママチャリなどのシングルギア車で後輪を外せる構造であれば、チェーンを切断せずフレームから外すことは可能です。
Q2:ミッシングリンクは何回まで使い回しができますか?
A2:製品パッケージに「Reusable(再利用可)」と記載されているモデルは、一般的に3〜5回程度の脱着が目安とされています。「Non-reusable(単一使用)」と書かれているモデル(シマノ製クイックリンクなど)は原則として1回限りの使用が推奨されています。着脱時に手で簡単に外れてしまうほど緩くなったものは、走行中の破断・脱落を防ぐため即座に新品へ交換してください。
Q3:ラジオペンチでミッシングリンクを外すと壊れる心配はありませんか?
A3:過度な力でねじったり、斜めに無理なテンションをかけたりしなければ壊れるリスクは低いです。ただし、ペンチの先端が滑ってチェーンプレート表面やフレームに傷を付けるリスクがあります。作業時はピンの根元にしっかり先端を当て、チェーンが暴れないよう片手でしっかり保持しながら作業を行ってください。
Q4:チェーンを外さずに綺麗にする方法はありますか?
A4:チェーンを切らずに外すのが難しい場合、チェーンを装着したまま挟み込んで内部のブラシで洗浄する「チェーンクリーナー器具(ガラガラ洗浄機)」を使用するのが最も効果的です。ディグリーザーを入れてペダルを逆回転させるだけで、取り外さずに9割以上の汚れを除去できます。
まとめ:安全第一のチェーン脱着で愛車の駆動力を蘇らせる
自転車のチェーンを切らずに外すアプローチは、構造さえ正しく理解していれば決して難しい作業ではありません。ミッシングリンク装着車であれば、ラジオペンチや結束バンドといった身近な道具を活用した裏ワザで、工具が手元にない状況でも安全に対処できます。
重要なのは、「切らずに外すこと」に固執するあまり、ピンを無理に押し戻すなどの危険なメンテナンスを行わないことです。一度外したチェーンを適切に洗浄・注油し、正しいテンションで再装着すれば、ペダリングの軽快感や変速のスムーズさは劇的に向上します。愛車の仕様を見極め、適切な道具と正しい手順で駆動系のメンテナンスを進めてください。 (出典: 自転車 チェーン 外し 方 切ら ない(Yahoo!ニュース))