にほんごであそぼ七草の歌はなぜ頭に残る?歌詞や覚え方・歌い手を解説
毎年1月7日の朝、まな板の上で響くリズミカルな包丁の音とともに、ふと頭の中に流れてくるメロディがあります。NHK Eテレの長寿知育番組『にほんごであそぼ』で放送されて以来、世代を超えて親しまれている「七草の歌」です。「せり・なずな・ごぎょう…」と口ずさむだけで、難解に思える春の七草の名称が驚くほどすんなり頭に入ってくる魔法のような楽曲として、今なお多くの家庭で愛されています。
大人になっても一度聴いたら忘れられないこのフレーズには、日本語のリズムを知り尽くした番組ならではの綿密な仕掛けが隠されています。本稿では、「七草の歌」の歌詞の意味や春の七草の簡単な覚え方、味わい深い名調子を響かせた「うなりやベベン」をはじめとする歴代の出演者情報、さらには1月7日にいただく七草粥の由来まで、徹底的に紐解いていきます。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:『にほんごであそぼ』の「七草の歌」は、五七五七七の伝統的な和歌のリズム(七五調)と三味線のグルーヴが融合した究極の暗記ソング。
- 要点2:浪曲師・国本武春氏が演じた「うなりやベベン」の力強い弾き語りや野村萬斎氏の身体表現が、幼児から大人まで惹きつける中毒性を生み出している。
- 要点3:春の七草7種類(せり・なずな・ごぎょう・はこべら・ほとけのざ・すずな・すずしろ)の効能と1月7日の七草粥の由来も合わせて学べる。
【なぜ頭から離れない?】『にほんごであそぼ』七草の歌が持つ中毒性とリズムの秘密
「せり なずな ごぎょう はこべら ほとけのざ すずな すずしろ これぞ七草」――。このわずか31文字がこれほどまでに記憶に定着するのは、日本の古典文学が長年培ってきた「五・七・五・七・七」の短歌のリズムを極限まで洗練させているからです。古くは室町時代の『河海抄(かかいしょう)』に記された四辻善成の和歌がベースになっており、日本人のDNAに深く刻まれた心地よい音節構造を持っています。
『にほんごであそぼ』では、この古歌に三味線のシャープなカッティングと、親しみやすくも本格的な節回しを融合させました。ただ言葉を丸暗記させるのではなく、耳から入った音の響きと身体のリズムが一体化するように綿密に設計されています。子どもたちが無意識のうちに手拍子を打ち、口ずさんでしまう構成こそ、放送開始から年月を経ても色あせない理由です。
【歌詞全文と覚え方】「せり・なずな…」春の七草7種類の名前と特徴
番組で歌われる歌詞は非常にシンプルですが、ひとつひとつの植物には無病息災への願いや、過酷な冬を生き抜く力強い生命力が込められています。まずは歌詞の全貌と、登場する7種類の植物を整理してみましょう。
【七草の歌 歌詞全文】
「せり なずな / ごぎょう はこべら / ほとけのざ / すずな すずしろ / これぞ七草」
語呂合わせや丸暗記に頼らずとも、歌のリズム通りに「5・7・5・7・7」で区切って発声するだけで、誰でも1分足らずで暗唱できるようになります。それぞれの植物が持つ意味や特徴を知ると、さらに記憶の定着が深まります。
① 芹(せり):競り合うように群生することから名付けられた水辺の植物。食欲増進や整腸作用が期待されます。
② 薺(なずな):別名「ペンペングサ」。なでて汚れを払うという意味が込められ、利尿作用や解熱に良いとされています。
③ 御形(ごぎょう):「母子草(ハハコグサ)」のこと。仏体を表す縁起物で、咳や喉の痛みを和らげる生薬としても重宝されてきました。
④ 繁縷(はこべら):茎に葉が多く茂ることから繁栄の象徴とされ、ビタミンが豊富で腹痛薬としても知られます。
⑤ 仏の座(ほとけのざ):葉の付き方が仏様の台座に似ていることが由来(※シソ科のホトケノザではなく、キク科のコオニタビラコを指します)。
⑥ 菘(すずな):現代の「カブ」。神を呼ぶ鈴に見立てられ、胃腸を温めて消化を助ける働きがあります。
⑦ 蘿蔔(すずしろ):現代の「ダイコン」。「すずしろ(清白)」の名の通り汚れのない白さを表し、風邪予防や消化促進に役立ちます。
【歌っているのは誰?】うなりやベベンと野村萬斎が吹き込んだ圧巻のエネルギー
「七草の歌」の強烈なインパクトを語る上で欠かせないのが、歌い手の圧倒的な表現力です。なかでも視聴者に最も深い印象を残したのが、「うなりやベベン」こと浪曲師の故・国本武春さんでした。
ベベンさんの唸るような迫力ある歌声と、三味線をエレキギターのように掻き鳴らすグルーヴ感は、伝統芸能の敷居の高さを軽々と打ち破る力強さがありました。単なる子ども向け知育ソングの枠に収まらない本物の芸の厚みが、幼少期の耳を捉えて離さなかったのです。
さらに番組では、狂言師の野村萬斎さんによる「ややこしや」に代表される身体表現や、狂言の所作を取り入れた七草の演出も展開されました。歴代の子どもたち(ちーむ・をとめ座など)の澄んだ歌声と、一流の伝統芸能人たちが織りなすコラボレーションこそが、『にほんごであそぼ』の歴代ソング群が持つ唯一無二の魅力となっています。
【1月7日の七草粥】食べる意味と由来・まな板を叩く「七草叩き」の風習
春の七草を覚えたら、ぜひ知っておきたいのが1月7日に七草粥を食べる本来の意味です。この日は五節句のひとつである「人日(じんじつ)の節句」にあたり、古くから七草を入れた温かい粥を食べることで、1年間の無病息災を祈る風習が受け継がれてきました。
また、お正月の豪華なご馳走やお酒で疲れた胃腸を休めるという、理にかなった生活の知恵でもあります。早春にいち早く芽吹く野草の青々とした生命力を身体に取り入れることで、邪気を払い、ビタミンやミネラルを補給する目的がありました。
地方によっては、6日の夜やすがすがしい7日の朝に、包丁やスリコギでまな板を叩きながら「七草なずな 唐土の鳥が 日本の土地へ 渡らぬ先に 合わせて バタバタ」と囃子歌を歌う「七草叩き」という儀礼も残っています。疫病を運ぶと信じられていた渡り鳥を追い払うための祈りが込められており、『にほんごであそぼ』の世界観とも深く通底しています。
【音源と映像】歴代ソングを収録したCDアルバム・配信で楽しむ方法
「久しぶりにあの力強い歌声を聴きたい」「我が子にも聴かせたい」という親世代の需要は年々高まっています。「七草の歌」をはじめとする番組の名曲群は、NHKエデュケーショナルからリリースされている歴代のCDアルバムやDVDに多数収録されています。
『にほんごであそぼ ベベンのたいこもち』やベスト盤アルバム『にほんごであそぼ 百』などには、うなりやベベンさんの魂のこもった名演がしっかりとパッケージングされています。また、近年では各種音楽ストリーミングサービス(Apple Music、Amazon Music、Spotifyなど)でも配信が行われており、手軽に高音質な音源を再生可能です。
公式の動画クリップや関連映像については、NHKの公式キッズ向けポータルやアーカイブ配信サービスなどで定期的に紹介されています。新年の食育や日本の伝統文化を学ぶ導入として、親子で鑑賞するのに最適な教材です。
【にほんごであそぼ 七草の歌】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:なぜ「せり・なずな…」の順番で覚えるのですか?
A1:室町時代初期の公卿・歌人である四辻善成が詠んだとされる和歌の五七五七七(短歌)の形式がそのまま定着したためです。「5文字(せりなずな)・7文字(ごぎょうはこべら)・5文字(ほとけのざ)・7文字(すずなすずしろ)・7文字(これぞ七草)」という音数律が最も口当たり良く整えられています。
Q2:「七草なずな 唐土の鳥が〜」という歌とは違うものですか?
A2:はい、別物ですが同じ七草の行事に由来しています。「七草なずな〜」は、1月6日の夜から7日の朝にかけて七草を刻む際に歌われる民俗的な「七草叩き(鳥追い)」の囃子歌です。『にほんごであそぼ』の「七草の歌」は、7つの植物の名前そのものを覚えるための古歌をベースにしています。
Q3:うなりやベベンさんの声が入ったCDは今でも手に入りますか?
A3:CDアルバム『にほんごであそぼ 百』や『にほんごであそぼ 萬斎 満載』などの既発アルバムに収録されており、主要なCDショップやオンラインストア、各音楽配信プラットフォームにて視聴・購入が可能です。
まとめ:言葉の響きと日本の伝統を未来へつなぐ名曲
『にほんごであそぼ』の「七草の歌」は、単なる植物の名前の羅列を、時代を超えて口ずさまれる生きたエンターテインメントへと昇華させた傑作です。五七五七七の心地よいリズムとうなりやベベンさんの情熱的な語り口は、言葉本来が持つ美しさと力強さを私たちに教えてくれます。
1月7日の七草粥を準備する際には、ぜひ家族みんなで「せり なずな ごぎょう…」と声を合わせてみてください。美しい日本語のリズムとともにいただく一杯のお粥は、日本の四季と伝統の豊かさを、より一層深く感じさせてくれるはずです。 (出典: にほんごであそぼ 七草 の 歌(Yahoo!ニュース))