古文の敬語を完全攻略!尊敬・謙譲・丁寧の見分け方と主語特定の裏ワザ
大学入試や定期テストの古文で、多くの受験生が最もつまずきやすいのが「敬語の識別」と「主語の特定」です。登場人物の身分関係が複雑に絡み合い、誰が誰に敬意を払っているのかを見失った瞬間、文章全体のストーリーが全く読めなくなってしまうケースは少なくありません。
古文における敬語は、単なる知識問題にとどまらず、省略された主語を正確にあぶり出すための「最大の読解ツール」です。尊敬語・謙譲語・丁寧語の基本性質と「誰から誰への敬意か」を判定するシステマティックな手順さえ身につければ、難解に見える長文読解も驚くほどクリアに見通せるようになります。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:敬語の3分類(尊敬=主体/謙譲=客体/丁寧=聞き手)を理解すれば敬意の方向は機械的に判別可能。
- 要点2:「地の文」と「会話文」で敬意の送り手(筆者か話者か)を明確に切り分けることが誤読を防ぐ鉄則。
- 要点3:「給ふ」「奉る」などの多義語識別と最高敬語の公式を押さえることで、共通テストや二次試験の主語特定を劇的に高速化できる。
【敬語の超基本】尊敬・謙譲・丁寧の違いと「誰から誰への敬意」の決定ルール
古文読解の成否を分けるのは、敬語の種類と「誰を高めているのか」というベクトルの把握です。現代語の感覚だけで解こうとすると必ず混乱するため、まずは3つの敬語が持つ役割を明確に整理しておきましょう。
それぞれの敬語が指し示す「敬意の対象」は以下の通りです。
- 尊敬語(主体への敬意):動作をする人(主語)を高める。「〜なさる」「お〜になる」
- 謙譲語(客体への敬意):動作を受ける人(目的語/〜に・〜を)を高める。「〜申し上げる」「差し上げる」
- 丁寧語(聞き手・読者への敬意):話を聞いている相手や読者を高める。「〜です」「〜ます」「〜でございます」
「誰から誰への敬意か」を問われた際は、まず敬語の種類を特定し、次にその敬語が使われている場面(地の文か会話文か)を確認します。尊敬語であれば「動作をした人物」、謙譲語であれば「動作の受け手となった人物」が敬意の受け手(〜へ)になります。この原則は例外なくすべての古文読解に適用できます。
【一瞬で見抜く】地の文と会話文の敬語パターン|絶対敬語と相対敬語の罠
敬語の送り手(誰から)を判定するルールは非常に明快です。文章のシチュエーションに応じて、以下の2パターンしか存在しません。
- 地の文(会話文の外):「筆者(作者)」から敬意が送られる。
- 会話文・手紙文:「話者(手紙の差出人)」から敬意が送られる。
ここで受験生が最も陥りやすい罠が、現代語の「相対敬語」の感覚を古文に持ち込んでしまう点です。現代日本語では、社外の人に対して自分の上司を呼ぶ際「社長の〇〇は席を外しております」と身内を下げて表現します。しかし、古典の世界では絶対敬語が採用されており、身分が高い人物に対しては、身内であろうが敵であろうが、いかなる場面でも必ず敬語が使われます。
たとえば、親が天皇である我が子について語る場合でも、身分上は天皇が上であるため、親のセリフの中に天皇への尊敬語が登場します。この「身分関係に応じた絶対的な敬意」を前提に持つことで、会話文内の発言者と登場人物の力関係を正確に把握できるようになります。
【完全保存版】入試・テスト頻出!古文敬語一覧表と「給ふ・奉る・侍り」の識別
入試本番で即座に得点へ結びつけるためには、頻出の敬語動詞を「本動詞」と「補助動詞」の両面から整理しておく必要があります。特に頻出する重要語を以下の表にまとめました。
| 敬語の種類 | 代表的な動詞(本動詞) | 補助動詞の意味と用法 |
|---|---|---|
| 尊敬語 | ・おはす/おはします(いらっしゃる) ・のたまふ(おっしゃる) ・御覧ず(ご覧になる) ・召す(お呼びになる・召し上がる) | ・〜給ふ(〜なさる・お〜になる) ・〜おはす(〜ていらっしゃる) |
| 謙譲語 | ・奉る/参らす(差し上げる) ・聞こゆ/聞こえさす(申し上げる) ・まかる/まかる(退出する) ・承る(お聞きする・お受けする) | ・〜奉る/〜参らす(〜申し上げる) ・〜聞こゆ/〜聞こえさす(〜申し上げる) |
| 丁寧語 | ・侍り(侍る)(あります・ございます) ・候ふ(さぶらふ)(あります・お仕えする) | ・〜侍り(〜です・〜ます) ・〜候ふ(〜でございます) |
特に差がつくのは「給ふ」「奉る」「侍り」の文脈識別です。
「給ふ」の識別:
基本的に四段活用(給へ・給ふ・給ふ…)の「給ふ」は尊敬語(〜なさる)です。しかし、下二段活用(給へ・給へ・給ふ・給ふる…)で使われている場合は、会話文または手紙文の中で使われる謙譲の補助動詞(〜させていただく/〜ます)となります。直後に「見・思ひ・聞き・知り」などの心情・知覚動詞を伴うケースが典型的です。
「奉る」の識別:
直前に動詞を伴わない本動詞なら「差し上げる(謙譲)」、あるいは「(身分の高い人が)お召しになる・お乗りになる・召し上がる(尊敬)」の二面性を持ちます。直前に動詞が接続していれば100%「〜申し上げる(謙譲の補助動詞)」と判断できます。
「侍り・候ふ」の識別:
本動詞として「お仕えする」の意味を持つ場合は謙譲語、単に「あります・おります」の意味なら丁寧語です。補助動詞として動詞の連用形に付く場合は、すべて丁寧語(〜です・〜ます)として処理します。
【差がつく応用編】助動詞「す・さす・しむ」と最高敬語(二重敬語)の読解法
上位校の入試や共通テストの読解で頻出するのが、使役・尊敬の助動詞「す」「さす」「しむ」が絡む複合敬語です。
動詞の連用形に「せ給ふ」「させ給ふ」「しめ給ふ」と敬語が重なる形を最高敬語(二重敬語)と呼びます。これは「天皇・上皇・中宮(皇后)」など、作中で最上位に位置する人物の動作に対してのみ用いられる特別な敬語表現です。
ここで必須となるのが「使役+尊敬」なのか「最高敬語(尊敬+尊敬)」なのかの見極めです。判断基準は次の1点に集約されます。
文中に「〜に(人に・従者に)」という動作を行わせる対象(使役の対象)が明示されているか、文脈上あきらかに誰かに命令して行動させている場合は「使役+尊敬(〜にお命じになって〜なさる)」です。一方、そのような対象が存在せず、主語が帝や院である場合は単なる「最高敬語(〜あそばす・お〜になる)」として処理します。
【実戦テクニック】共通テスト・二次試験で主語を特定する敬語読解の極意
古文において主語が省略される最大の理由は、「敬語を見れば誰の動作か自明だから」です。出題者はこの古代の共通認識を受験生が正しく読み取れるかを試しています。
実際の試験問題で主語を特定するステップは次の3段階です。
- 述語の敬語チェック:傍線部や文末の動詞が「尊敬」か「謙譲」か「敬語なし」かを瞬時に判別する。
- 身分関係への当てはめ:
- 尊敬語がついている ➡ 動作主は作中の「身分が高い人物」
- 謙譲語がついている ➡ 動作の受け手が「身分が高い人物」(動作主は身分が低い人物)
- 敬語が一切ない ➡ 動作主は「身分が低い人物・従者」
- 接続助詞による主語の継続・転換の確認:「て・して・で」の前後では主語が同じであることが多く、「を・に・ば・ど・ども」の前後では主語が切り替わりやすいという文法ルールを敬語のベクトルと連動させる。
この3ステップを機械的に当てはめるだけで、人物関係図を描きながら迷子になるリスクをゼロに抑えることができます。
【尊敬 謙譲 丁寧 古文】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:敬語の「本動詞」と「補助動詞」はどうやって見分ければいいですか?
A1:動詞の直前に別の動詞(連用形)があるかどうかで判別します。単独で「〜する」という意味を持っている場合は本動詞(例:「花を御覧ず」=花をご覧になる)、他の動詞の下にくっついて意味を添えている場合は補助動詞(例:「咲き給ふ」=お咲きになる)です。
Q2:会話文の中に「侍り」や「候ふ」が出てきたら、敬意は誰に向かっていますか?
A2:会話文中の丁寧語は、すべて「その言葉を直接聞いている相手(聞き手)」への敬意になります。地の文に出てきた場合は「読者」への敬意です。迷ったら「会話の相手を高めている」と判断してください。
Q3:下二段活用の「給ふ」はどのように見分ければ良いですか?
A3:直後の形を確認してください。「給へて」「給ふれば」「給ふべし」など、エ段やウ段の活用語尾に接続しているケースが目印です。また、主語が話者自身(一人称)であり、「思ふ」「見る」「聞く」などの動詞の下に付いていたら下二段活用の謙譲語(〜させていただきます)と即断できます。
まとめ:敬語のベクトルを武器に古文を得点源へ
古文の敬語は、暗記すべき単語の羅列ではありません。尊敬(主語↑)、謙譲(目的語↑)、丁寧(聞き手↑)という「敬意の方向性」を理解すれば、文章全体の構造と人間関係を解き明かす最強のナビゲーターになります。
まずは頻出動詞の一覧表を頭に入れ、読解時には「地の文か会話文か」「誰から誰への敬意か」を常に矢印で意識しながら読む習慣をつけてください。敬語のベクトルが正確に追えるようになったとき、古文は試験における最大の安定得点源へと変わるはずです。 (出典: 尊敬 謙譲 丁寧 古文(Yahoo!ニュース))