That Isの短縮形はthat'sだけ?i.e.との違いと正しい使い方
英語の日常会話やテキストメッセージで頻繁に目にする「that is」の表現。学校教育では真っ先に「that's」という短縮形を習いますが、実は文脈や伝達手段によって「使ってはいけない明確な文法場面」や「まったく異なる省略表記」が存在します。
特にビジネス文書や学術ライティングでは、話し言葉の感覚で「that's」を使ってしまうと稚拙な印象を与えかねません。さらに、ラテン語由来の記号表記「i.e.」との関係や、文末での短縮可否など、知っておくべき厳格なルールが存在します。日常会話からプロフェッショナルの現場まで通用する、that isの短縮形と省略ルールの本質を整理しました。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:that isの会話における標準短縮形は「that's」だが、文末や強勢が置かれる位置では短縮できない文法規則がある。
- 要点2:書き言葉で「すなわち・つまり」を意味するthat is(that is to say)の短縮には、ラテン語由来の「i.e.」が用いられる。
- 要点3:ビジネス文書や学術論文ではアポストロフィを用いた短縮表現を避け、完全な形で綴るのが国際的なマナーである。
【基本ルール】that isの短縮形「that's」の仕組みとアポストロフィの使い方
指示代名詞「that」とbe動詞「is」が結びついた最も一般的な短縮形がthat'sです。英語の正書法において、このアポストロフィ(')は単なる飾りではなく、「文字の脱落(omission)」を視覚的に証明する重要な記号として機能しています。具体的には、「is」の語頭にある「i」が脱落したことをアポストロフィが示しています。
発音記号は/ðæts/となり、日本語のカタカナ表記では「ザッツ」と表されるのが一般的です。文法的なポイントとして、直前のthatの末尾が無声破裂音の/t/であるため、続くsも無声音化して濁らない/s/の発音になります。「That's right.(その通りです)」や「That's a great idea.(それは素晴らしいアイデアですね)」のように、直前の発言や状況全体を指し示しながらテンポよく会話を進める際に欠かせない表現です。
しかし、スマートフォンやキーボードの入力速度を優先するあまり、アポストロフィを省いて「thats」と入力してしまうミスが頻発しています。「thats」という単語は英語の規範文法には存在せず、タイポ(誤入力)とみなされるため、日常のチャットであっても正確な表記を心がける必要があります。
「that's」だけではない?略語表記「i.e.」との決定的な違いと使い分け
「that isの短縮形はthat'sだけ」と思い込んでいると、英文読解やライティングで大きな混乱が生じます。実は、英語の「that is」には「あれは~である」という指示代名詞の役割だけでなく、「すなわち」「言い換えれば」という説明・補足の接続表現(that is to sayの短縮)としての用法が存在します。
この「言い換えのthat is」を書き言葉で短縮・省略する場合、使われるのは「that's」ではなく「i.e.」です。これはラテン語の「id est(英語のthat isと同義)」を語頭から取った略語であり、英語圏の学術論文、技術文書、ビジネスレポートなどで極めて頻繁に登場します。
会話の中で「つまり~」と補足する場合は「that is to say」や「that is」をそのまま声に出すか、「I mean」などの口語表現に置き換えるのが自然です。一方で、書面において語句の直後に補足を添える際は、「(i.e., ~)」と括弧書きで示すのが標準的な書法となっています。同じ「that isの短縮」であっても、文脈が「代名詞+動詞」なのか「言い換えの接続詞」なのかによって、アウトプットすべき形が根本から異なります。
文末では使えない?英文法短縮形の注意点とthat is省略形ルール
英語の短縮形には、どのような文中位置でも無条件に使えるわけではないという「構造上の絶対ルール」が敷かれています。その代表格が、文末における短縮の禁止です。
たとえば、相手から「Is that your car?(あれはあなたの車ですか?)」と質問された場合を想定してみましょう。肯定の返答として以下の2つを比較すると、明確な正誤が分かれます。
・○ 正しい:Yes, that is.
・× 誤り:Yes, that's.
短縮形(専門用語では接語:clitic)は、音韻的に弱く発音される「弱形」の性質を持ちます。しかし、英語の統語構造において文末に単独で残るbe動詞には、文全体の意味を支えるための音声的な強勢(ストレス)を置かなければなりません。that'sのように短縮してしまうと、必要な強勢を保持できなくなるため、文法的に成立しなくなります。
「文末のbe動詞は省略・短縮せず完全に発音・表記する」という原則は、that isに限らず「it is(× Yes, it's.)」や「you are(× Yes, you're.)」にも共通する、英文法における必須の防壁です。
過去形「that was」の短縮形は存在する?ネイティブが避ける落とし穴
英語学習者の間で非常によくある疑問が、「that isがthat'sになるなら、that wasも短縮できるのか」という点です。結論から述べると、規範文法において「that was」の短縮形は存在しません。
アポストロフィ付きの「that's」が展開できる語は、以下の2パターンのみに限られます。
1. that is(例:That's my brother.)
2. that has(例:That's been discussed already. ※現在完了形)
過去の出来事について「That was amazing!(あれは凄かった!)」と表現したい場面で、口語の勢いに任せて「That's amazing!」と言ってしまうと、相手には「それ(今目の前のこと)は凄いね!」という現在形のニュアンスで伝わってしまいます。過去の事実であることを明確に示したい文脈では、短縮せずにしっかりと「that was」と2語で発音・記述しなければなりません。
ビジネス英語での短縮表現マナー|メールや報告書でのNG例と対策
デジタルコミュニケーションの浸透により、SlackやTeamsといったビジネスチャットでは同僚間での「That's great!」「That's noted.」といった短縮形のやり取りが日常化しています。しかし、公式なビジネスレター、契約書、顧客宛ての重要メール、社内報告書では、短縮形に対する姿勢を一変させる必要があります。
欧米のビジネスライティング規範において、アポストロフィを用いた短縮形(contractions)は「カジュアルな口語表現」と分類されます。フォーマルな文書で短縮形を多用すると、書き手の手抜きやプロフェッショナリズムの欠如と受け取られるリスクを孕んでいます。
相手や媒体のトーン&マナー(格式)を見極め、改まった場では「That is acceptable.」とフルスペルで表記することが、信頼性の高いドキュメントを作成するための鉄則です。また、前述の「i.e.」を用いる場合も、アメリカ英語のスタイルガイド(Chicago Manual of Styleなど)に準拠し、「i.e., 」のように直後にカンマを打つのが正式な書法とされています。
覚えておきたい英語短縮形一覧|日常会話からライティングまで完全整理
that isをはじめとする代名詞とbe動詞・助動詞の結合パターンは、英語のコミュニケーションにおける土台です。頻出する指示代名詞・疑問詞の短縮可否を一覧表にまとめました。
| 元の形 | 短縮形 | 発音の目安 | 文末使用 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| that is | that's | /ðæts/(ザッツ) | 不可 | that hasの短縮も同形 |
| it is | it's | /ɪts/(イツ) | 不可 | 所有格itsとの混同に注意 |
| there is | there's | /ðeəz/(ゼアズ) | 不可 | 口語では後ろが複数名詞でも頻用 |
| here is | here's | /hɪəz/(ヒアズ) | 不可 | 物を取り出して手渡す際の定番 |
| what is | what's | /wɒts/(ワッツ) | 不可 | what hasの短縮も同形 |
| that are | なし | ― | ― | 関係代名詞that + areも短縮不可 |
表から分かる通り、指示代名詞や疑問詞とbe動詞の短縮形は、原則として「文末での使用が一切認められない」という共通ルールを持っています。規則性をセットで頭に入れておくことで、ライティング時の迷いを大幅に減らすことができます。
【that isの短縮形】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:that's は that was の短縮形としても使えますか?
A1:使えません。「that's」が表すのは「that is」または現在完了形の「that has」のみです。過去形である「that was」を短縮する文法形式は存在しないため、過去の事象を語る際は必ず「That was...」と略さずに表現する必要があります。
Q2:学術論文や公式なビジネス文書で「i.e.」や「that's」を使っても問題ありませんか?
A2:「that's」は口語短縮形であるため、フォーマルな論文や契約書では避け、「that is」と完全に綴るのがマナーです。一方で「i.e.」は学術的な書き言葉の慣用表現として広く認知されており、補足説明として括弧内(例:i.e., ~)に用いる分には学術論文でも問題なく使用できます。
Q3:関係代名詞としての「that is」も「that's」に短縮できますか?
A3:口語会話では短縮されるケースが見られます(例:the thing that's important)。ただし、関係代名詞節内で主格とbe動詞を短縮すると文構造が見えにくくなるため、丁寧なライティングやフォーマルなスピーチでは「that is」のまま維持するのが好まれます。
まとめ:文脈に応じた使い分けでワンランク上の英語力を
何気なく使いがちな「that isの短縮形」ですが、掘り下げていくと、話し言葉における「that's」の音韻ルールから、書き言葉における学術略語「i.e.」の存在、さらには文末で短縮してはならない文法上の制約まで、緻密な体系の上に成り立っていることが分かります。
日常のカジュアルなチャットでは「that's」を的確に使いこなし、フォーマルなレターではあえて「that is」と完全な形を保つ。そして、文書内で概念を言い換える際にはスマートに「i.e.」を差し込む――。場面に応じた正しい使い分けを実践することで、英語コミュニケーションの精度と説得力は格段に高まります。 (出典: that is の 短縮 形(Yahoo!ニュース))