エブリイ自作ベッドをイレクターパイプで作る!寸法と設計図の全手順
軽キャンパーや車中泊ファンの間で、圧倒的な支持を集め続けるスズキ・エブリイ。広大な荷室空間を誇るエブリイを自分好みの移動基地へ仕立てる際、最も人気を集めているカスタムが「イレクターパイプを使ったベッドキットの自作」です。自由自在に組み立てられ、コストを市販品の数分の一に抑えられる反面、設計の甘さから「寝ると激しくキシむ」「走行中にガタつく」といった失敗に直面するビルダーも後を絶ちません。
強固で快適なベッドスペースを作り上げるには、エブリイ特有の荷室形状を把握した綿密な寸法出しと、適切なジョイント選びが欠かせません。初心者でも一切のグラつきを出さず、大人2名が快眠できるプロ仕様の自作ベッドを完成させるための設計ノウハウと、車検をスムーズに通すための重要ポイントを分かりやすく解き明かしていきます。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:エブリイのイレクターパイプベッド自作は、メタルジョイントの活用とアジャスターによる水平調整でグラつきを完全に防げる。
- 要点2:DA17V・DA64Vそれぞれの荷室寸法に合わせた骨組みと天板の多分割化により、下部収納と快適な居住性を両立可能。
- 要点3:市販キットの約3分の1となる2万円前後の費用で製作でき、「積載物」扱いにする構造で車検もそのままクリアできる。
【失敗の原因】なぜ初心者のイレクターパイプベッドはグラつくのか?
エブリイの荷室にイレクターパイプを組んだものの、実際に寝転がるとパイプがたわんだり、寝返りを打つたびにギシギシと不快な異音が鳴ったりするケースがあります。この失敗を引き起こす最大の原因は、「プラスチック専用接着剤での固定」と「筋交い(補強)の不足」にあります。
接着剤で固定するプラスチックジョイントは、一度接着するとミリ単位の微調整が効きません。エブリイのフロアは完全な平面ではなく、後席を格納した部分やホイールハウス周辺にわずかな傾斜や凹凸が存在します。固定式のジョイントでは路面からの突き上げや車体のしなりを逃がせず、接合部に負荷が集中してガタつきが生じてしまうのです。
また、前後の荷重を支える脚だけに意識が向き、左右方向の揺れを抑える斜めの補強(筋交い)を省略してしまうのも典型的なミスです。体重数十キロの人間が乗るベッドフレームには想像以上の横Gやモーメントがかかるため、六角レンチで締め付ける強固な「メタルジョイント」を採用し、前後左右の連結パイプを適所に配置することが揺れゼロ化の絶対条件となります。
【最適寸法と設計図】エブリイ(DA17V・DA64V)の荷室をフルフラット化する骨組み
自作ベッドの骨組みを成功させる鍵は、フロア形状の凹凸を相殺しつつ、「床下収納の容量」と「車内の天井高(ヘッドクリアランス)」をどうバランスさせるかにあります。
現行のDA17V(およびDA17Wエブリイワゴン)や先代のDA64Vにおいて、大人2名がゆったり就寝できるフレームを組む場合の基準寸法は以下の通りです。
| 部位 | 推奨パイプ長(外寸ベース) | 設計の狙い・ポイント |
|---|---|---|
| メイン縦パイプ(前後長) | 約1,650mm〜1,750mm | 前席のスライド量を確保しつつ足元までフルフラット化 |
| メイン横パイプ(全幅) | 約1,180mm〜1,200mm | ホイールハウス内寸(約1,040mm)の上を渡す設計 |
| フレーム支柱の高さ(脚) | 約280mm〜320mm | 定番の収納コンテナ(高さ約25cm)が綺麗に収まる高さ |
エブリイは後席を前方に倒した際、リアハッチ側フロアよりもシート背面側が約20mm〜30mmほど高くなります。そのため、前後すべての脚を同じ長さに切り揃えてしまうと前上がりの傾斜ができてしまいます。後席側の脚を短めに設定し、パイプ底面部に「ネジ込み式アジャスター」を装着してミリ単位の水平出しを行うのがプロの設計手法です。
【必須パーツ一覧】必要なジョイント型番と専用カッターによる切断術
イレクターパイプ(Φ28mm外径)の組み立てにおいて、強度とメンテナンス性を極限まで高めるためのパーツ選びは妥協できません。分解や再調整が容易な矢崎化工(YAZAKI)のメタルジョイントシリーズを中心にしたパーツ構成がベストです。
■ 主に使用する推奨ジョイント型番
- HJ-1(メタルジョイント):パイプ同士をT字型またはクロス型に連結する基本パーツ。主要フレームの結合に多用。
- HJ-2(メタルジョイント):コーナーの三方向(L字+垂直脚)を一体結合する高剛性ジョイント。
- HJ-7(メタルジョイント):パイプ同士を一直線に交差・延長補強する際に重宝するパーツ。
- J-49(プラスチック製インナーキャップ):パイプ脚の先端内部に圧入し、アジャスターボルトを取り付けるための受けパーツ。
- EF-1200(アジャスター金具):床の凹凸に合わせて無段階に高さ調整が可能なゴム付きボルト脚。
パイプの切断には、金ノコや電動グラインダーではなく、必ず「イレクター専用パイプカッター(EK-1等)」を使用してください。本体をパイプに挟んでクルクルと回転させるだけで、金属粉を一切飛び散らせることなく、わずか1〜2分で直角かつ綺麗な切断面が得られます。切り口のバリ取りをしっかり行えば、ジョイントの噛み合わせ精度が格段に向上します。
【天板とマットレス】コンパネ加工の極意とシンデレラフィットの選び方
フレームが完成したら、その上に載せるベッド天板の製作に移ります。天板には、湿気に強く十分な耐荷重を持つ「厚さ12mm以上の構造用合板(コンパネや針葉樹合板)」を使用するのが鉄則です。
天板は1枚モノで作るのではなく、「3分割〜4分割(幅約1,200mm×奥行約450mm〜550mm)」に切り分ける設計にします。分割構造にすることで、荷物の出し入れ時に一部分だけ持ち上げることが可能になり、車外への積み下ろしや後席シートを起こしての4人乗車モードへの切り替えが極めてスムーズに行えます。
合板の角を紙ヤスリで滑らかに面取りした後、厚さ10〜20mmの高反発ウレタンスポンジを敷き、難燃性のPVCレザーを裏面からタッカーで張り込むことで、市販高級ベッドキットと遜色ない質感が生まれます。
さらにクッション性を追求する場合、市販のセミシングルサイズ(幅60cm前後)の折りたたみ高反発マットレスを2枚並べると、エブリイの荷室幅1,200mmに驚くほどの「シンデレラフィット」を実現できます。隙間なく敷き詰められたマットはズレを防ぎ、自宅のベッドと変わらない深い眠りを約束してくれます。
【費用総額と車検対策】市販キット比較と構造変更なしで車検を通す基準
自作ベッドキットの魅力は、何と言ってもその圧倒的なコストパフォーマンスにあります。市販のエブリイ専用ベッドキットが5万円〜15万円程度するのに対し、イレクターパイプによる自作であれば約2万円〜2万5,000円前後の費用総額に収まります。
| 材料・項目 | 概算費用(税込) | 備考 |
|---|---|---|
| Φ28イレクターパイプ各種 | 約6,000円〜8,000円 | 定尺パイプ(2m/1.5m等)を切り出し |
| メタルジョイント+アジャスター | 約7,000円〜9,000円 | HJシリーズ約10〜14個、アジャスター4〜6個 |
| 12mm合板(コンパネ2枚) | 約3,500円〜5,000円 | ホームセンターのカットサービス利用推奨 |
| ウレタンシート+PVCレザー+表皮材 | 約4,000円〜6,000円 | タッカー針などの消耗品含む |
| 自作ベッドキット 費用合計 | 約20,500円〜28,000円 | 市販品の約3分の1以下の予算で実現 |
自作派が必ずクリアしておくべき課題が「車検(継続検査)への適合」です。車検時に構造変更手続きを不要にするための基本ルールは非常に明快です。
道路運送車両法において、ベッドフレームを車体にボルトや溶接で恒久固定してしまうと「工作物」とみなされ、乗車定員の変更や構造変更検査が必要になる場合があります。しかし、車体フロアに直接固定せず、「手工具なしで簡単に取り外して車外へ降ろせる状態(単なる積載荷物扱い)」にしておけば、何ら問題なく車検をパスできます。ベッドを載せたままで受検する場合でも、後方視界を遮らず、前席のシートリクライニングやシートベルトの動作に干渉しない設計にしておくことが肝要です。
【エブリィ イレクター パイプ ベッド】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:DA17V(バン)とDA17W(ワゴン)で設計寸法に違いはありますか?
A1:荷室の基本骨格は共通ですが、エブリイワゴン(DA17W)は後席シートに厚みがあり、格納時のフロアの盛り上がりがバン(DA17V)よりも高くなります。そのため、ワゴンで組む場合はフレーム高さを数センチ高めに設定するか、後席上の脚をアジャスターでしっかり短く調整できるように余裕を持った設計にしてください。
Q2:走行中のカタカタ音や異音を抑える裏ワザはありますか?
A2:パイプフレームと合板天板が直接当たる部分に、ホームセンターで手に入る「自己癒着テープ」や「隙間テープ(スポンジ材)」をパイプ側に巻き付けておくのが極めて有効です。また、天板の裏側に角材でズレ止めガイドを取り付けることで、急ブレーキ時にも天板が前後に滑らなくなります。
Q3:大人2名が就寝してもパイプが折れたり曲がったりしませんか?
A3:Φ28mmのイレクターパイプはスチール鋼管にプラスチック被覆を施した高強度パイプであり、適切なスパン(約400〜500mm間隔)で横渡しフレームを入れ、中央に脚を設ければ静止耐荷重150kg〜200kg以上を容易に確保できます。成人男性2名が乗っても破損する心配はまずありません。
まとめ:自由設計のベッドで極上の車中泊ライフを
エブリイの荷室空間をフルフラット化するイレクターパイプベッドは、正確な寸法設計と剛性の高いメタルジョイント選びさえ押さえれば、DIY初心者であっても市販品並みの完成度で仕上げることができます。何より、自分の体格や積みたいキャンプギア、ポータブル電源のサイズに合わせてミリ単位でカスタマイズできる自由度こそが、自作ベッドキット最大の醍醐味です。
必要な材料とパイプカッターを揃えれば、週末のわずか半日で愛車が極上のモバイルホテルへと変貌を遂げます。自分だけのこだわりを詰め込んだオリジナルベッドを組み上げ、どこまでも広がる自由な車中泊の旅へ繰り出してみてください。 (出典: エブリィ イレクター パイプ ベッド(Yahoo!ニュース))